第8教室:『ペルル嬢』(フランス語学習)『テレーズ・ラカン』(英語学習)

ドーデの『金の脳みそを持った男』もここで学習しました.

山田 錦の【通訳ガイド日記 21】

2012年  7月1日 (日)

 

    昨日、お客様と、別れ際に、


お客様: Yamada san, we'd like you to take us
     to the ninja village tomorrow.
     Kohga ninja village that you
    were talking about while ago.
    
( 明日、さっき、あんたが言っていた
  忍者村へ、連れて行ってよ。
  甲賀とか言っていたところへ。)

 

山田 : ガッピョ~~~ン。なぬ~~?

 

   そういう尻切れトンボ的終了でしたが、
   とりあえず、今朝は、
   午前10時にお迎えです。

   一応、甲賀村に備えて、
   タクシーの手配を試みたが、
   どこにも断わられました。

   つまり、距離制限にひっかかる、
   とのことなのです。
   最近は、きびしいらしい。

   で、どこのタクシーもダメ~という中、
   我らが桃山タクシーさんが、引き受けて下さい
   ました。

      本日のコースは、

  【アランヴェールホテル~甲賀忍者屋敷~
 ~ 甲賀忍者村~彦根城~京都駅八条口
  
   推定、350kmの旅程。
   こんなグランドツアーは山田、
   初めてなのです。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  午前10時。 アランヴェールホテル。
  すでに、ロビーには、昨日のおきゃくさま。


山田  :  Good morning !


おきゃく
さま方 :  Hi !


  ニューヨークの朝も、
  オーストラリアの朝も、握手で始まる。


山田  :  Good news for you !
       I at last found out the taxi that take us to ..
        
      ( ニュース速報です。
        やっと、一台のタクシーが・・・)


お客
さま  :  The Kohga ninja village !
      (行ってくれるんだね、甲賀忍者村へ。) 


    【一路、東へ】

  五条通りを東へ。一路、山科へ。

山田  : Do you know Onono Komachi ?
                   the most beautiful woman
                   Japan ever produced ?
     (小野の小町って、知ってはります?
                   めっちゃ美人の人。)


お客様
Tomさん: No, we have not any idea.
     (さあ、そんなんわかりません。)


お客様
ジーウェル
さん :     No. who is it ?
     (誰でんねん?)


山田 : Onono Komachi, the most beautiful lady
                   in the Japanese history.
      She is one of top three beauties
                  in the world along with Yokihi
                 in China and Kleopatra in Egypt.
            
         ( 小野の小町ゆう人は、楊貴妃
              クレオパトラぐらいの美女です。)

 

ジーウェ
ルさん: Did she live around here ?
    (この辺の人でっか?)

 

山田 : Yes. 
               (さよだんねん。)

              There were a lot
              of men who sued for her.
              Fukakusa no shosho was one of them
              who asked her the marriage

    男、いっぱい、言い寄りましてんけど、
              とくに、あの深草の少将がね。)
      
    Komachi demands 100- time-visit
           to show his passion.
           And Fukakusa agrees and pays
           visit 99-time night.
           But, at the final night,
          it snowed hard. Fukakusa fell down
         on the way to her residence, and died.

         Komachi, hearing his death, cried.
        And she remained shingle all her life.


        (小町はね。100日彼女のもとに
           通えって言ったんです。
     それで、深草の少将は、通いました。99日。

     その最後の日は雪でした。
          深草の少将は途中、行き倒れ
   となって、息を引き取りました。)


   ( 小町ねえさん、そのことを聞いて、
            泣きました。そして、生涯独身を貫きました。)


    お客様、その家はどこだ、とお聞きです。

     「小野じゃ。遠回りになるから、止めようよ。」
 
    と、アドバイス

「また、日本に来たとき、行きましょう。」   
      .         
  ※※※※※※※  

    【甲賀忍者屋敷】

 1時間足らずで、忍者屋敷に到着。
 手裏剣投げの体験は300円。

 お薦めしようと思っていたが、
 あれは、子どもだまし。
 距離が短かすぎて面白くなーい。 
   

  屋敷には敵を欺くための様々な仕掛けがあります。

 不思議のひとつに、オートロックの
 掛かる窓がありました。

 その窓は、普通に締めると、
 ロックが掛かってしまい
 追っ手が、まごついているすきに、
 逃 げるという逃げ窓。


 紙切れのようなモノを窓の隙間に通すと、
 ロックが解除されます。

 180度回転する壁。

 その中が隠し部屋になっている。

 そのほか、いたるところ、秘密の通路があります。

  展示品は、実際に使ったと
  いわれる様々な、忍者の小道具です。

  お客様、ことごとく、
   カメラに収めていらっしゃいます。

        (撮影可)  

  ※※※※※※※※※※     


    【甲賀忍者村】   


 甲賀忍者屋敷から、3,7km、
 山の中に、部落があります。
   ここが、忍者村。

 最近までは、忍者ではないけれど、実際に、
 お武家さんが住まわれた家屋跡です。

 入場料金は、ひとり1000円。
 受付入り口には、怖そうなおばさま。


山田  : すみません。
                   ガイドで付き添いますので・・・。


受付 : え?ああ、添乗員さんか?


山田 : はい。


受付 : ふん、ほなら、あんたは、
                  パンフレット要らんな。入り。


山田 : あ、ありがと。


※※※※※※※※※※※※※※

入ると、何にもありません。
さすが、忍者だ。家も、
木の葉隠れしてしまったか!

 
つづら折れの坂道を降りていって、
右手、ようやく藁葺きのお屋敷が見えました。

忍者屋敷か、お化け屋敷か、ようわからん。

屋敷の中は資料館になっています。


お客様 : What for ?
     (どうして使いまんねん?)


山田  : The sickle and chain of this type was
      mainly used for climbing walls.
      You hook this crooked part on
                      the top edge of a wall.
    
     (この手の鎖鎌はでんな。壁(とか塀)
      をよじ登るのに使いまんねん。
      この曲がったとこをでんな。
      壁のてっぺんに、ひっかけまんねん。) 


お客さま : Are these used actually by ninja ?      
      (ここのん、みんなホンマに
       忍者が使うたものでっか?)


山田   : (Who knows ! ) Yes,Mr.Zeawell.
       They are genuine
       items ninja really used.
      (知らんがな。) はい、もちろんですとも。
       実際に使われたものですよ。 

 


      しばらくして、屋敷の係の方が来られて、

   「ご説明いたしましょうか?」

   今まで、適当に答えていたことを、
   係員に確かめた。合ってた。よかった。
   うそをガイドしていなくて、よかった~!

 

 ※※※※※※※※※※※※※※※     

    忍者村というからには、あちこちに、
    忍者屋敷があります。次に行った屋敷では、
    一定人数がそろうたび、
    係員が屋敷の説明をしています。


係員  : では、説明をはじめさせていただきます。
      まず、この天井をご覧下さい。
      上には、一本のロープがかかり、
      棟木からこの天井を吊しております。


      山田、逐次通訳を始める。


山田  : Look at the ceiling. Back above,
      there's a rope by which
      the ceiling is suspended.


    静まりかえって、みなさん、
    山田のへたくそな
    英訳に耳を傾けておられます。


山田  : ( いやだわ~。
       抜き打ちテストをされているみたい。
       どうせ、私の英語は
       こんなものよ。
       聞き苦しいなら、誰か変わってよ!)


係員  : 敵がこの部屋に入るやいなや、
      上にいる忍者がロープを切り落とします。
      天井は、敵の頭上に落ちる、
      という仕組みです。


山田  : As soon as the enemies enter this room,
      the rope is cut from above by another
      ninja. The ceiling falls
                     down on enemies' head.

      敵が、この部屋に入ったら、
                      上で待ち構えている忍者
        がロープを切って、
                      天井を敵の頭の上に落とします。


    【囲炉裏端】

   何と、囲炉裏の灰が、スライド。
       その下に、秘密の通路が!

  やっと、逐次通訳の時間が終了
  説明して下さった係員が
       山田の方に、近寄ってきます。

   ( え? 
   何か誤訳していたか?
   恥ずかしうまい!)


係員   : お仕事は、何をなさっているのですか?


山田   : 通訳ガイドの専業です。
                  (というか、他に就職できまへんのや!)


係員  : わあ、やってみたい仕事です。


山田  : (アホかいな。この日記読んでみなはれ。
      いっぺんに、そんな気ふっとぶわ。)
     
      そうですか。
      じゃ、ガイド試験がんばって受けて下さいね。
      応援いたします。


      【信楽焼きのたぬき】

 おみやげ売り場のお屋敷に行く途中、
  信楽焼きのたぬきが、ずらり、
 並んで立っていました。
    
 愛嬌のある狸です。
   お客様、たぬきの大きなキ◯◯マを見て、大笑い。


山田   : These are Shigaraki pottery.
       The potters are near here,
       about 30- minute-drive.
       信楽焼きですわ。窯元は車で、
                   30分ぐらいのとこです。

 

    まあ、寄ってもいいけど、そうすると、
      彦根城を割愛することになります。

  なにぶん、お客様は、もう、
     午後5時30分の「のぞみ」の指定席を買って
  います。何が何でも、5時29分までに、
    八条口で降りるのだと、おっしゃいます。

  そして、冗談半分に、名古屋に行くので、
      彦根で降ろしてくれ!と
  言っておいでです。(本心だったかも?)


       【彦根城
       
  国宝です。
  大阪城の中が、鉄筋コンクリートなのに比べて、
      こちらは、江戸時代 のお城がそのまま残っています。
     天井には、大きな梁が、ドゴ~ン。

   説明に入ろうとしましたが、意外に難しい。

  石田三成とは、どういう人物か、という説明。関ヶ原の合戦の説明。 
       などなど、下ごしらえが必要。

  佐和山城長浜城小谷城から資材を調達して
  出来た城。城主、石田三成
  大阪城での勤めが忙しく、
  普段は、父、正継がお留守番。

  関ヶ原合戦後、徳川方に落ち、
  井伊直政が入城。以下、幕末まで、井伊家が
  歴代城主となった。


  ああ、あいにくの雨で、琵琶湖の景観は
  楽しむことは出来ませんでした。


  午後2時40分。
        博物館に立ち寄るかどうか、迷う。

  時間は微妙です。食事時間
  をカットすれば、立ち寄り可能。
  お客様、あきらめて、
        レッツゴーランチじゃ~、と  
  仰せです。仰せに従って、レストランを探す
     ・・・・・・
        が、なかなか、思うようなレストラン
   がない。


 ドライ
バーさん : ああ、あそこに、一軒ありますけど。


山田   : あれは、中華ですね。だめだ。


お客様  : Oh, that's OK ! Let's go and eat !
       あ、ええやん。行こ、行こ。    


      
   長崎チャンポンのお店でした。
   ベリグ~ですわよ~ん。

   長距離走行のドライバーさんを
   ねぎらって、お誘いしました。

   「どうぞ、ご一緒に。」

  そして、お勘定のとき、
  ドライバーさんの分を出そうとしたとき、
  山田の分も、ぜ~んぶ、
  お客様が、出して下さいました。

  実に、お客様は神様です。

  そして、午後4時45分。
  無事、京都駅八条口に到着。
  ミッション コンプリーテッド。
  全走行 350km。 
  所用 7時間。 グランドツアー終了。

  全員、握手。何か楽し~! また来てね~

    
※※※※※※ 山田 錦