第8教室:『ペルル嬢』(フランス語学習)『テレーズ・ラカン』(英語学習)

ドーデの『金の脳みそを持った男』もここで学習しました.

語学学習日記『アルルの女』(1)(ドーデ短編集より)(フランス語学習)

 
 ドーデ短編集より

  『アルルの女』(1)

 

ドーデの短編集を読みましょう。嘗て対訳書が売られていましたが
中古本ならアマゾンなどで入手できるかもしれません.ただかなり
プレミアがついて高額になっているものもあるようですので、無理
して買わないで下さい.この学習では、できる限るそれらの本の内
容をすべて書き写して、みなさまと共に学習していきたいと思いま
す.よろしくお願いいたします.
(本来どれも新品の定価が700円前後のテキストです.2000円以
上も出して買うのはもったいないと思います. 私が心苦しいです.
だって私たちはコレクターではなく、真摯な学習者ですから.)
 嘗て学習された方には、出品のせつは、どうか良心的な値段をつけ
ていただきたいと思います.

① 東京第三書房、フランス名作対訳双書Ⅴ 『ドーデ短編選集』
② 大学書林語学文庫 ドーデー『風車小屋だより』
③ 評論社 ニューメソッド 仏文対訳シリーズ3『ドーデー短編
    集』


ド-デの『アルルの女』は後に戯曲としてドーデ自身が1872年に
も描いています.これから読むのはそのもととなっている原形のほ
うです.原形の素朴さを味わってみましょう.


————————————————————————————————— 

             L'ARLÉSIENNE
                     アルルの女

————————————【1】——————————————————
                      
  Pour aller au village, en descendant de mon moulin, on
passe devant un mas bâti près de la route au fond d'une
grande cour plantée de micocouliers.

————————————(訳)——————————————————
                       
私の風車小屋を下りて、村へ行くには、道の近くに建てられ
榎の植わった大きな庭の奥にある一軒の「農家」の前を通る。


————————————《語句》——————————————————
          
L'Arlésienne : Arles の女  男はl'Arlésien    
Arles:(アルル)は南フランスの古い町
 現在は観光地として知られており、ローマ時代の遺跡、
 円形競技場があります.その他、ゴッホの描いたカフェテリア
 が今も尚営業しています.
mas:[マ、マース] 南仏プロヴァンス地方の農家   
de micocouliers: 前置詞 de のあとでは冠詞 du,  de la,  des  は
 重複を避けるため省略されます. 
micocoulier (m) 榎(えのき)[ニレ科の落葉樹] 


————————————≪解説≫——————————————————
           
    
  ①  bâti près de la route         道のそばに建てられた
  ②  au fond d'une grande cour     大きな庭の奥に 
  ③ plantée de micocouliers.       榎が植えられた

これらの句がどこに掛かるかで意味が
取れるかどうかの分かれ目になります。

    ①と②はun mas (農家)にかかります。

    un mas bâti près de la route  道のそばに建てられた農家であり、かつ
  un mas bâti au fond d'une grande cour   大きな庭の奥に建てられた農家
                                      のことである

  ③は②の d'une grande cour にかかります。

    d'une grande cour plantée de micocouliers 榎が植えられた大きな庭

機械的に後ろから訳し上げていけば、おかしくなります。
それでいいなら、とっくの昔に、コンピューターがやっているはず。
そうならないから、我々、人間の脳みその出番があります。

ちなみに機械的に訳せば

  私の風車小屋を下りて、村へ行くには、
  榎が植えられた大きな庭の奥にある道の傍らに建てられた

 農家の前を通る・・・
 ことになるのですが、

   ≪庭の奥に道があったのでは、通ることができません。≫

仏文解釈はジグソーパズルにも似ていて、

いくら形が同じでも、色と模様が違えば、それは別の場所。

同様にいくら名詞の後ろの前置詞句だとしても、
必ずしもそこの修飾パーツとは限りません。
よく内容をみながら、どこに掛かるかを見ていきましょう。

何?  au fond d'une grande cour を
la route の直後に置いた人が悪い?
 
なんだか、駐車違反して止めている車にぶつけた加害者が
言いそうなセリフだ。

本文が文法違反しているとは思えないが、

まあ、上達するためには、他人を責めず、
自分の軽率さを反省しましょう。

★最後に  d'une grande cour plantée de micocouliers
「榎が植えられた大きな庭」について、もういち度。
de micocouliers は 前置詞 de + des micocouliers が
簡略されたもの。というより
前置詞 de のあとでは、冠詞 du, de la, des, は
重複をさけるため省略される。
boulevard de marronniers  マロニエの植わった大通り
Elle a planté son jardin de rosiers.  
彼女は自分の庭にバラの木を植えた。