第8教室:『ペルル嬢』(フランス語学習)『テレーズ・ラカン』(英語学習)

ドーデの『金の脳みそを持った男』もここで学習しました.

山田 錦の【通訳ガイド日記 24】

2012年 5月30日 (水)


山田自宅事務所 5月29日(火)

電話が鳴ります。プルルルル~ン


山田   : はい、山田ですが。


電話の人 : êœàçӠӠşƆşüç㎡æ,OK ?


山田   : な、なぬ~?


  もう一度、耳を澄ましてよく聞くと・・・


電話の声 : Oh, we're asking you if you'd like
       to show some temples tomorrow !
      
      ( 明日、私たちを案内してってお願いしてるのよ。
        お寺とかを!)


 何だか、聞き取りにくい、英語でした。
 東南アジアの人かな?
 とにかく、OKの返事をする。


山田   : (『Mission accepted.』と言いたかったが、
        これは、テレビの見過ぎ。そこで・・)  

        How many people will be with you ?
        (何名さまですかぁ?)

電話の声 : We're three.
         We're artists,interested in woodbrock
        prints. Any suggestion?

      ( 3人よ。みんな芸術家なの。
       浮世絵とかに興味あるんだ けど、
       何か提案してもらえる?)


山田  : (う、浮世え?え~? 
       さあ、どこ行けば、見られるんだろ?
       ボストン美術展は、もう終わったし。
       そこは、絵心のある山田。
       描いて差し上げようか?)


   とか、しばし、アホな考えを巡らし、返答、


山田   : I'll look and check it up till tomorrow.
       What is your hotel's name ?
      (調べときますわ。ホテルどこですか?)


電話の声 : Universal Port !
       (ユニバーサル・ポートホテルよ。) 


   さて、大阪で、浮世絵が鑑賞できるところ。
   パソコンで検索してみた。

   ヾ(@^▽^@)ノ

   そしたら、難波、法善寺横町のほど近く、

  「上方浮世絵館」06-6211-0303   

  という小さなミュージアムがあった。



   (あ、ここでええわ。ここにしとこ。)


  簡単に考えて、タクシーを予約。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


明けて、5月30日 (水)


  昨夜、予約をしていたタクシーから、電話。
 
ドライ
バーさん: 今、出庫します。
      そちらのお家の前に着けましょうか?


山田  : あ、すみません。
      我が家は、路地裏通りにあるので、
      タクシーは入れません。

      中華料理「皇蘭」の前に   
      着けてもらえますか?


ドライ
バーさん: 了解しました。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

  (^O^)

  タクシーは、その後、すぐにやって来ました。
  着いた知らせが携帯電話に入ります。


山田   : え?もう到着したのですか?
  

ドライ
バーさん : みくびってもらっちゃ困ります。
       当社のタクシーは、
       空を飛んでくるのですよ。


山田   : うそでしょ?


ドライ
バーさん : うそです。


実は、ドライバーさんとは、
こういう冗談が交わせる懇意の
おつきあいをさせていただいております。

ユニヴァーサルホテルは、
此花のUSJの近くにある大きなホテルです。


山田の家からは、軽く1時間半はかかります。
何が、びっくりしたといって、料金。

何と、ホテル到着時には、
すでに、6000円突破。ガピョ~~ン。

ドライバー氏、曰く、


「心配しなさんなよ。
 きょうは、ホテルにお迎えしてからの時間契約
 なのだから、メーターがどんなに上がっても心配ないよ。」


 きょうのタクシー代は、此花のUSJのホテル到着時から、
 1時間につき、4000円
 という貸切契約になっています。

 メーターを倒したのは、ゴタ(一応、乗客)が、すでに乗車  
 しているため、法令上、賃走扱いになったもの。
 
※※※※※※※※※※※※※※※※


  ユニヴァーサルポートホテル 午前9時30分

  約束の出発時間は、午前10時なのですが、
  やはり、お姿をみるまでは、気がかり。

  山田、ロビーで、うろうろ、
  キョロキョロしていると、


コンシェ
ルジュさん : お伺いいたします。


山田    : ミッシェルさんという
        お客様をさがしています。 


コンシェ
ルジュさん : お部屋の番号はわかりますか?


  部屋の番号を聞くのを忘れていました。

  いつもは、コンシェルジュ経由で仕事が回るので、
  聞かなくても、係のコンシェルジュの名前で
  OKなのですが、昨夜の電話は、お客様直接
  のご依頼です。

  ホテルは、ノータッチ。

  ノータッチは、かくも、不便の極みではあるが、
  斡旋手数料は0円。
  何?そのかわり、受けた電話は、非通知。

  たとえキャンセルされても、
  キャンセル料金をいただくすべがない、
  心もとない仕事です。


コンシェ
ルジュさん : そうですか?どこの国の方でしょうか?


山田    : さあ、英語になまりがあったので、
        東南アジアの方だと思うのですが・・・


  コンシェルジュさんは、
  すぐに、調べて下さいました。
  曰く、ミッシェルさんご一行は、
  当ホテルに確かにお泊まりの由。

  さて、10分ほど待ったら、お出まし。

女性客3名。

 (あれ~? 全然、東南アジアじゃないじゃない。)


  お客様は、オーストラリアの
  シドニーからのお客様です。
  なまりがあるわけではありません。
  山田の耳こそ、なまりこけておりました。

  (もっと、英語勉強しいや~。)

  自分で自分を責めるしかありません。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  お寺をいくつか見て廻りたいとおっしゃいます。
  大阪には、「四天王寺さん」がたったひとつ。
  そこで、京都に移動。

  金閣寺やら、銀閣寺を訪問しよう、
  という行き当たりばったりのツアーです。


  京都に移動・・・はいいのだが、
  高速代はばかになりません。
  まともに、阪神高速第二京阪
  阪神高速京都線と乗り次ぐと、3000円。


  そこで、阪神高速守口線(900円)だけを利用して、
  あとは、枚方バイパスを突き進みます。
  最短距離のコースです。

  道中、お客様は、化粧品についてお尋ね。


 お客様のひとり 

 【あなたは、「フジヤマ」という化粧品をご存じか?】


山田     【知らぬ】

また
ひとりの客 【売っている店に連れて行ってくれ。】 


山田    【 枚方フォレオという
       スーパーがあるので、立ち寄る?】 



   そこで、ついでに昼飯にするという。
   だが、話をよく聞いてみると、
   その化粧品は、スーパーなんかじゃなく、
   百貨店に売っている商品 だという。

   それに、まだ、昼飯には、早すぎる。

   であるからして、やっぱり、枚方フォレオは、パス。



お客のひとり 【あなたは、ガブリエル
        スズキを知っているか?】 


山田     【ノー】  


お客     【京都人なのだが。】


山田     【アイム ソーリー。知らなーい。】 



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 

   またしばらくして・・・

お客   【あの建物は何だ?】


    わかりません。でも、あまり


     【知らない】


   を連発すればガイド失格です。
   そこで、ドライバーさんに聞きます。


ドライ
バーさん 【 ああ、あれはね。
      大阪ガスのガスタンクだよ。】


  【 教訓 】 新人ガイドはベテランドライバーの
        タクシーに乗れ!


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  京阪国道(1号線)は、東寺で突き当たります。
  その突き当たりに横切る道が九条通り。

  洛中の南沿いの外周道路です。
  その九条通り北側に五重の塔が聳えます。


山田  : Look at the five story
      pagoda in front of us !
    
     (ほら、正面に五重塔が見えます!)


お客さま: Oh, yes. please slow down.
       I'll take a photo.
      (ああ、はい。ゆっくり行って
        ちょうだい。写真撮るわ。)


  九条通りを東へ。この通りは、東福寺で、
  左にカーブしており、
  そのまま、東大路通りとなります。

  左にカーブしたということは、
  北に向いた、ということ。

  東大路通りは、通称、東山通り。
  月はおぼろに東山~ の東山です。

  そして、文字通り、この通りの東側は、

    「東山三十六峰」

  と呼ばれる山脈が、南は稲荷の山から、
  遙か北の比叡山まで、
  36の山を連ねております。


  東山36峰の中ほど、
  粟田山の西山麓から鴨川までが
  祇園と呼ばれる花街。


山田 : The area around here is called "Gion",
     the entertainment district in the city.
       
    ( この辺り、祇園と呼ばれて
      いまして、市の花柳界になります。)

    There are some two hundred maiko
    dancing girls and geiko
    dancing entertainers.
       
    ( およそ二百人ほどの芸舞姑がいます。)


お客
さま :  Prostitutes ?
     (遊女なの?)


山田 : No, a kind of entertainers.
     Their social status is  much higher
               with high level culture.
     They play musical instruments
     like shamisen or three-stringed guitar.

    ( いいえ。一種のエンタテイナーです。
     社会的地位も高く、教養もあります。
     三味線なんかも、演奏しますし。)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※  


 東山通りを仁王門通りで右折。
 ここから疎水沿いを走ります。


山田 :  The canal was constructed in Meiji era,
    about 100 years ago,  by a young engineer
            fresh from Tokyo University,  doctor Tanabe
           who designed this artifitial canal building
           as his diploma.

   ( 運河なんですけど、田辺博士の設計によるのもです。
     100年前の明治時代に作ったんです。
     大学出たての青年技師だったのですよ。)  


お客様: Wao...!
    (わおー!)


神宮道で左折。そこには大きな朱塗りの鳥居がありました。  
平安神宮の前で、下車。
応天門をバックに記念写真。

京都ハンディクラフトセンターに行きます。

リクエストの浮世絵は、ここのおみやげと、
となりのアミタの体験コーナーで・・・
と軽く考えておました・・・・


が、アミタの方は、
事前予約がないと、参加できません。


山田 : Sorry. Looks like
            we should have booked.
    ( すんまへんなあ。
               予約が要ったようで。)

お客
様  : That's OK.   
    (いいわよ。)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

    起き上がり小法師を見て。


お客様: What's this?
    (これ、何なの?)

山田 : It's an okiagari-koboshi
     or a tumbler.
     See? Each time it's tumbled,
     it'll get back and up.
     (起き上がり小法師です。
                ほら、転んでも、起き上がります。)


  このとき、お店の方がやって来て、説明の手助けです。

お店の方: Every Dharma doll has blank eyes.
      You put one dot in one eye.
       And if your wish is
                 realized you are supposed
                 to put another dot in the  other eye.

              (片方の目を先に塗るんです。
                 そして願いが成就すると、
      残りの目を描くのです。)


お客様 : Wao ! Interesting !
     (へえ、面白い!)


山田  : Dharma was originally a
      Buddhist monk who established
      Zen sect of Buddhism.
      The doll are depicted as that
      Monk Bodhidharma.

     ( 達磨さんは、お坊さんで、
      禅宗の中興です。人形は
      達磨さんを描いています。)

 
とても、面白いとおっしゃって、みなさん、
お買い上げ。ありがとさーん。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※         
   
今度は招きネコのマスコットをみて・・・


お客様 : What are these cats for ?
      (このネコ何するネコ?)

 
山田  : Beckoning cats.
      (招きネコです)


お客様 : What ?
(え?)

お店の方がやって来て、説明の手助けです。


お店の方 : Lucky  charm!
       (幸運のネコです!)


お客様  : Oh, I see.
      (あ、なるほど。)


お店の方は月光仮面でっせ。

※※※※※※※※※※※※※

葛飾北斎の絵柄の風呂敷を見て・・・

お客様 : What is this? A tapestry ?
               (これ、タペストリーかしら?)


山田  : I don't know.
                It looks like furoshiki
      or wrapping cloth.
               (わかりません。風呂敷のような・・・)


お客様: But what do you use
       these poles for ?
     (でもこの棒は何なの?)


poleをパオールと発音なさいます。
何のことかと思って困っていると、


お店
の方 : By putting both palls into both edges
             you can use this cloth as tapestry.
     ( 棒を差し込むと、
      タペストリーになるんです。)


山田 : ああ、なるほど!


【教訓: オーストラリアでは pole は、パオール と発音する。】

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

となりのアミタでお食事を・・・
と思っていたら、
ここも、予約がないと、
お弁当は出してもらえません。
2Fの喫茶コーナーでお食事です。

山田、乗務員休憩室を発見。入ってみた。


山田 : ここは、無料ですか?


係員 : そうですけど、お客様が、
     予約のお食事をされているご一行様
     の乗務員さんと添乗員さんの
     食事場所です。


山田 : うちのお客様は今、喫茶コーナーで・・・


係員 : そこのお客さまでしたら、残念ながら、
     ここをご利用いただけません。


※※※※※※※※※※※※※ 

これは困りました。

仲よし三人組に同席するのは、
ちょっと厚かましいと
思いました。タクシーに戻って、
ドライバーさんはどうするのか、聞いてみた。


ドライ
バーさん : 私は、どこでも、みなさん、
       見学中に食べることが 出来ますので。


この瞬間、山田真っ青。

( ああ、はじめに、お客様のお誘いを
 受けておくべきだったか!)


【教訓】 
  京都ハンディクラフトセンターで
  食事予定のときは、
  前もって予約をすべし。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 

  さて、食後は・・
  (といっても、ゴタはまだ食後ではなかったが)・・
  予定通りだと、二条城の見学です。

  京都ハンディクラフトセンターを
  出て、丸太町通りを西に。

  鴨川を渡り、河原町通りを横切り、
  まもなく右手に京都御苑
  緑の木々が見えてきます。


山田 : Greenery on right side is
      the trees surrounding the
     Imperial Palace.
    
    ( 右の緑はね。
     御所の廻りの木なんですよ。) 


お客様 : Imperial Palace ?
      Oh Emperor lives there right?
     (御所ですって?じゃ、
      天皇のお住まいってこと?)


山田  : The imperial residence is
      now in Tokyo.  It's Kohkyo.
      It's former Edo Castle.

              (天皇は今は東京に住んでいます。
      皇居といいます。  江戸城跡です。) 
    


お客様 : We'd like to visit
      this palace. Can we now ?

              (じゃ、行って見たいわあ。
      今行けるの?)


山田  :If you had your passport
     with you now,・・・
     (パスポートがあればねえ・・・)


お客様 : Oh, we have. All of us.
             (持っているわよ、みんな。)


山田  :え?ええー?



びっくり仰天のゴタ、
 うろたえながら、宮内庁に電話。

現在時刻午後1時40分。
今だと、午後2時の見学に間に合います。


山田 : Then let's go !
             (そしたら、行くべし~!)


     ヾ(@°▽°@)ノ


 ちょっと、やけくそ気味のゴタ。
 同じく、戸惑うドライバーさんにお願いして、
 一条門から御苑に入ってもらいました。

 ここに 宮内庁事務所があります。

  急ぎ、拝観許可をもらい、スタコラサッサと、
  入っていきます。
 現在時刻午後1時55分。あと5分。急げ~。
 
 
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


【午後2時】


  御所見学ツアーが始まります。
  例によって、
  御所専属の通訳ガイドさんが、ご一行のご案内。
  ゴタは、カメラ係。

  さて、我らがお客様、さすがに、芸術家。
  お車寄せ(carriage porch) の
  唐破風(Chinese gables) に魅せられ、
  微動だにいたしません。

 
  まあ、そういわれてみれば、
  すごい入り口ですが、山田は、
  悪いけど、その良さがあまり
  わからぬのじゃよ。すんまへん。


 【紫宸殿の前で】


お客様 : Is this the Emperor's residence ?
      (天皇の住居なの?)


山田  : No, not that I know of.
     (いや、そうじゃありません。)


お客様 : Then what for ?
      (じゃ、何?)


山田  : The site was and is used
      for ritual purpose.
     (儀式なんかで使われているようです。)


   みなさん、カメラで忙しく、
   専属ガイドさんの説明を
   聞いていらっしゃいません。

   山田に聞いて来られます。
   こっちの説明はあまり正確じゃないのに。
   アハハ。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  【金閣寺にて】

  修学旅行の学生さんたちが、
  ゴタのお客様を捕まえて、英語のお勉強。

  (ああ、もう。時間が狂っちゃいます。迷惑・・・・)

  と、思いかけたが、・・・何、きょうは人の上、
  明日は我が身。実は、この4日後に、
  この課題をもった修学旅行の学生さんの
  案内の仕事のアサインが入っております。

  5~6分のタイムロス。まあ、いいか!


 【おみくじ】

  お不動さんの祠の横のおみくじを引きます。
  何と、ここのおみくじ、
  日本語しか、書かれていません。

  何と、薄情なおみくじ。

  ここは、一日何人の外国人が
  おみくじを引くと思ってんだろ。

  もっと、親切に英語の対訳も
  付けろ-。100円返せ!気の毒に。

  山田、簡単に翻訳して差し上げましたが・・・、
  ただひとつ救われたのは・・・
  みなさん、「大吉」でした。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 一路、大阪に戻ります。
 夕方、ユニヴァーサルポートに無事生還。

 午後4時45分、7時間のガイド業務終了。

 ※※※

 本日の精算

 タクシー料金(1時間=4000円の貸切契約:

        7×4000=28000円)
       
    (タクシーメーターに関係なく事前契約で支払い)
 

  ※※※


 チップが1000円出ました。

 あとで、わかったのですが、
 ドライバーさんも、昼飯抜きだったとか。

 USJ近くのコンビニで、
 パンとジュースで、腹ごしらえ。
 必死で食べた。あ~あ。


※※※※※※※※※※※山田 錦