第8教室:『ペルル嬢』(フランス語学習)『テレーズ・ラカン』(英語学習)

ドーデの『金の脳みそを持った男』もここで学習しました.

山田 錦の【通訳ガイド日記 23】

2012年  5月2日 (水)

  【通訳ガイドのお仕事 二日目】


午前7時45分。西山旅館フロントにて。


山田 : おはようございます。
     ガイドの山田です。
     8時ご出発のハービー様2名さまを
     お迎えに上がりました。


フロ
ント : あ、はい、えーと、ハービー様、
    8時のお迎えですね。しばらく
     お待ち下さい。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

午前7時50分。トマトタクシー到着。

午前7時55分。ハービー様ご夫妻、お出まし。


山田  : As I suggested yesterday,
      we have time for one place to
see until 10;00AM.
        Philosopher's road and Ginkakuji
silver pavilion,
      the place I think I will
  show you at first today.
         
( お伝えしましたように御所の見学時間まで、
少しお時間がありますので、
      哲学の道と、銀閣寺に、ご案内致します。)

ドライ
バーさん:  じゃ、山田さん、若王子に着けましょうか?


山田  : え? ニャンコ王子? 

ドライ
バーさん: いいえ、ニャクオオジ。


山田  : あ、ああ若王子!
      また、うちのネコかと思った。
      ゆきぴょん王子かと。


ドライ
バーさん:どうしましょう?


山田 : いいえ、法然院の辺りで、
     降ろしてもらって、あと、すみませんが、
     銀閣寺の駐車場で、待機していてもらえますか?


ドライ
バーさん:了解しました。


ヾ(@^▽^@)ノ

午前8時10分。辺りは静かです。
結局、哲学の道ではなく、法然院にやって来ました。
入り口に立て札。

  「不許葷辛酒肉入山門」

葷辛酒肉(クンシンシュニク)、
山門(サンモン)に入るを許さず、

と書かれています。

 

    葷辛(クンシン)とは、ニンニクやニラ、
    ネギなど、臭いのきつい野菜のこと。
    つまり、ここのお寺は、ニンニクはもちろん、
    酒も、肉も ダメ、ということです。

    何?失礼だって?
    ああ、あなた、お肉たくさん、
    身体についているのね。ゴメンナサイ。

    山門を入ると、両側に、土盛。


山田 : Two mounds of sand represent the salt.
     Salt has been believed to have power
     to drive away the evil spirits.
     While you go through
     between the two mounds,
     the salt power expel
     all bad spirits around you.
     And you are free from the evil.
       
    (土盛はね、塩を表しているのです。
     塩は悪気を駆逐する力があると信じられています。
     その真ん中を歩いていくと、悪気が払われます。)


ご夫妻: Don't they use real salt ?
    (本物の塩は使わないんだ。)  


 
山田 : Because salt out !
    (sold out のダジャレ。 無視された。)
    (塩は売り切れなの!)


山田 : A famous monk, Honen lived in a hermitage
     in the Kamakura period or in around 1200. 
     This was the origin of this temple.
     (1200年ごろ、法然というお坊さんが、
     この地に庵を結んだのが始まりです。)
 

   朝、まだ早いので、本堂は開いていません。
   本堂では、散華といって、内陣に
   季節の花が、25輪、撒かれているのです。
   見られなくて残念!

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

   哲学の道に出ました。
   ここから、銀閣寺までは、すぐです。
   少し歩いて、左下の駐車場で、
   待っている都タクシーの
   ドライバーさんにお声かけ。


ドライ
バーさん: 私もご一緒させていただきます。


山田  : よろしくお願いします。


   銀閣寺参道を4人で歩きます。
   ところどころ、軒の上に、鍾馗さま。
   ご主人、そのひとつひとつを、
   カメラに収めています。


ドライ
バーさん : あのね。ここのお家が、
       一番はじめに、大文字の送り火
       火を点けるのですよ。

       代々そのお役を担っている旧家
       なんです。

    
   ヾ(@°▽°@)ノ

  さすが、地元のドライバーさん。
  よくご存じで。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※  


   【銀閣寺にて】


ご主人 : Oh, simple pavilion !
      No silver is attached.
     (なんとシンプルな!
      銀泊は張っておまへんがな。)


山田 : The 8th shogun Yoshimasa,
     the founder was dead before
     the pavilion was
    brought to completion.
    So silver work remained undone.
    
  (完成を見ずに、義政は逝去したので、
   銀泊を施すことは出来なくなりました。)

 

 雨が銀閣にしっとりとした
 詫びの風情を添えました。
   
 時刻は午前9時。
 山田、少し、時間が気になり出しました。
 10時に10分前までには、来ていて下さい、
 と言われたことが、気にかかっていました。
 ドライバーさんに、
  
   「裏山には、もう登らないでおきましょう。」

 と、耳打ちします。


ご主人 : The wet moss makes the garden much
      more subtle and profound.
     (苔が雨でしっとりしていいね。幽玄だよ。)


山田  : Yes, indeed.
    Actually, Yoshimitsu was
    interested in the Saihoji
    Temple that boasted beautiful moss greenery.
    He, in my opinion, imitated that
    garden of Saihoji Temple
    when he designed this silver pavilion.
        
    (実に、そうですよね。義政は、
     苔寺に関心がありましたので、
     思うに、その寺の庭を真似たのでしょう。)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※  

  ドライバーさんは、
  
  「まだ、大丈夫だから。」

  と、アドバイスして下さいましたが、気の小さいゴタ、
  午前9時10分に銀閣寺を出ました。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

   午前9時20分。銀閣寺駐車場を出発。
   今出川通りを西へ。
   しばらく進みますと、両側に京都大学の学舎。

山田 : On the left,
     the nearest building belongs to science
     and technology faculty,
     the next one belongs
     to literature faculty.
     On the right, the precincts belongs
     to the agriculture faculty.・・・・
    
(左の建物は工学部、
 その向こうは文学部、右は農学部で・・・)

 よくまあ、言えたものだ。
 ええかげんなガイド。京大生が聞いていたら、

  「あほか、このおっさんは!」

 と、怒鳴られそう 。

  
 【反省】: 知らぬなら ゆうのは 吉田山(よせ)にせよ
    

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

      
   【京都御所

  ドライバーさんのおっしゃった、

「まだ大丈夫ですから、
 裏山に登って、銀閣寺を見下ろせますよ。」

の言葉が身にしみた。まだ、時刻は9時30分。
御所は、9時40分まで入場出来ません。

しばらく、休憩所で待機。
ご主人、うどん屋の前で、じっと立っています。

   (食べはるんやろか?)

奥様は、おみやげを眺めていらっしゃいます。

山田は、時計を眺めてる。(あと、3分・・・・)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

  
  おまたせ~。やっと、9時40分。
  入場しました。ただし、入ってからも、尚、20分の待機。


  【反省】 ベテランドライバーさんの忠告は、
素直に聞きましょう。

   ここから先は、宮内庁専属の通訳ガイドさんが案内します。
   山田のええかげんな通訳ガイドは、お払い箱。

   まあ、それでも、
   ベテランガイドさんの案内を見て、お勉強。
   一緒について入りました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

    三日間の滞在中、奈良を予定に
    入れておられたご夫妻ですが、
    午前10時~11時の京都御所

    それと、午後3時30分からの
    桂離宮の見学、というスケジュールでは、
    ちょっと、無理のようです。


山田  :  I hope you will come back
       some day soon for Nara.
      
      (また、今度、日本に来て下さい。
       奈良はそのときに。)

 
ご夫妻 : Oh, definitely we will.
       (ははは、そうですとも!)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

    家具のアンティークショップめぐりは、
    きょうも続きました。
   
    御所を見学中、
    ドライバーさんが調べておいて下さいました。

   それは、下鴨にありました。
   下鴨本通り沿い、糺の杜辺りに、ありました。

   その家具屋さんは、英国調がメインでした。
   奥様は、日本風のアンティー
   をお探し。

   お店のかたのご協力で、
   外国人好みのアンティーク家具のお店を
   探しましたところ、寺町高辻上がるにある、
   とのことで、レッツゴー。

   そして、その店はありました。
   あったのですが、そもそも、家具なんて、
   ここで買って、どうして、カナダに
   持って帰るの?不思議、不思議。

   結局、お買い求めになられたのは、茶道具数点。
   昨日、歌舞練場でのお点前
   が、忘れられなかったようでございます。

     「 Yeah、 one of maikos poured hot water
      into the cup whipped with tea whisk
      in front of us and served the
      tea to each of us.
     It was very impressive .」

     (舞姑さんがね。目の前で、茶筅とかを使って、
     お茶を点ててくれたの。
      とても印象的でした。)     

      歌舞練場で、舞姑さんが
     入れてくれたお茶がよほど、
     よかったのでしょう。
     何度も、言っておられました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

  
  お昼は、奥様は、おそば、
  旦那様は、うどんがいいと言います。

  午後は嵐山の「天龍寺」を予定していましたので、
  その方面で、
  適当なところをドライバーさんに
  案内してもらいました。


  それは、清滝方面に進んだところにありました。
  お店の前に、秋篠宮さまの写真がありました。
  写真には、
   
   「平成6年」
   
 と、書かれていましたので、
 もうずいぶん、昔のことですが、お若い紀子さま
 の姿もありました。


 ただ、外国人用のメニューがなく、
 チョイスするには、定食以外メニューに写真もなく、
 よって、「うどん定食」と「そば定食」以外は、
 やま勘で注文することになります。

  結局、無難に、奥様が、「そば定食」、
  旦那様が、「うどん定食」、
  我々クルーが、同じく、「うどん定食」

 これで、お一人、980円。
 まあまあ、こんなものでしょう。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
  
    【天龍寺

  今回の旅のテーマは、「庭園」ですので、
 加山画伯の「雲龍図」は、パスしました。
 そして、雨ということもあり、
 本堂にあがることも、割愛。

 目指すは、曹源池。
 造園は夢想国師

 当寺院は、1994年12月、
 ユネスコ世界文化遺産古都京都の文化財として、
 一連の寺院とともに登録。


奥様 : Oh, there is bamboo grove up there !
     (あら、竹林があるのね。)


山田  : Yes, there are some groves
     there outside of this precincts.
     
   (はい、ここを出れば、
    幾つかの竹林があるのですが・・・)


   それとなく、ドライバーさんに、


   「 北門から出るので、
     大河内山荘の下まで、回送してほしい。」


   ことを暗に匂わしたが、意に介さず。
   そりゃ、そうだ。自分でも、いやなことを
   人に言うべきではなーい。
    
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

   【渡月橋

  いつこの橋が出来たかは、定かではないそうです。
  立て札には、承和年間(834年 - 848年)に
  僧、道昌が架橋した旨が解説されています。

  まあ、どの説によっても、亀山天皇
 (この渡月橋の名付け親)の御代には、あったらしい。


  現在の橋は、昭和9年の鉄筋コンクリート製。
  ただし欄干部分は木造。

  カメラ撮影の時間は、3分間だけ。
  桂離宮の集合時間は、午後3時30分。

  只今、時刻は、午後3時。
       気の小さいゴタ、内心、あせっております。

  ドライバーさんは、平気。

   「 何、大丈夫ですってば。
    10分あったら、着きますよ。」


  うっそー。信じられない山田。
  とにかく、遅延したら責任はゴタにのしかかる。
  午後3時5分。渡月橋を出ました。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


   【桂離宮

  ところが、本当に、10分で、到着してしまいました。
  何と、すごーい。

  抜け道を駆使して、
  嵐山ロイヤルハイツの堤防を走り抜け、
  上野橋を渡り、
  さらに、桂川沿いを縫うように貫通しました。
  あざやか!
  

山田   : Our driver is a veteran
       with more than 10
        years of experience.
        (この道10年のベテランさんです。)


ドライバー: なんちゅうことを!まだ、駆け出し者です。
さん


   午後3時15分。桂離宮の入り口に、
   見学者が集まっています。まもなく、入場です。

   ここは、皮肉なことに、
   日本語ガイドしかつかないのに、
   山田は、エスコートが
   出来ません。


山田  :  いってらっしゃーい。
       I'll be here shortly before
the tour is over at 4:30.
       (終わるころ、お迎えに来ますのでね。)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※   

   さて、今度は、山田とドライバーさんが待機です。
   約1時間の間、何をするか。
   それは、昨日、お客様が、タクシーに忘れた傘
  ( これは、西山旅館の傘でした。)
   を回収にいく用事。

  乗ったタクシーは、葵タクシー。
  その南区にある営業所に、傘が保管されています。
  我らがベテランドライバーさん、
  その営業所の所在地をご存じです。


  鼻歌まじりに、八条通りを東へ。
  どこか、山田の知らない道で、クルクル回ります。

  方向音痴の山田、もう、西も東もわからない。
  わからなくても、到着-。

  ああ、プロのタクシードライバーは、すごいなあ!


    「ああ、はい、この傘ですね。」


    「はい、ありがとうございます。」


  そして、無事回収。任務完了。桂離宮に引き返します。

※※※※※※※※※※※※※※※

   午後4時。もどって来ました。

   お客様が戻られるまで、時間は、まだ30分あります。

   今度は、コンビニに寄ってもらいました。
   忙しい山田。   

   ドライバーさんに、
   トマトジュースとバウムクーヘンを買ってきました。
   余計なお世話だったかも?

   リコピンにはまっている山田。
   

   午後4時30分。


  桂離宮のツアーは終了。

  出口にお客様をお迎え。

  きのうの傘が戻ってきたので、お客様

  日本人による日本語ガイドでした。
  こういう場合、ガイド料金を割引するべきでした。
  が、しっかりもらってしまった。
  すみません。


   午後5時。お宿に戻りました。

   車から降りて、握手で、ごあいさつ。


ご夫妻  :  Thank you for today.
       It was a wonderful day spending with you.
       (ありがとうございました。)


山田   :  Come back soon to Japan
       for Nara sightseeing
       that we will put aside for you
       for next time.
       
      ( 奈良観光が残ってしまいましたね。
       是非またいらして下さい。)

  
   そして、びっくり。我々におみやげです。

   カナダのメープルシロップ
   山田とドライバーさんに下さいました。

山田&
ドライバーさん : Thank you very much.
          You shouldn't have.
          Oh,Thank you. Very much interested
          in the Canadian syrup.
 
          ( ありがとうございます。
          しなくてよかったのに。
          すみません。
          でも、カナダのシロップか。すごい。)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※おしまい。

   山田 錦(ゴタ)