第8教室:『ペルル嬢』(フランス語学習)『テレーズ・ラカン』(英語学習)

ドーデの『金の脳みそを持った男』もここで学習しました.

山田 錦の【通訳ガイド日記 57】

2013年 4月20日 (土)


   【ロイヤルパーク京都、午前8時45分】

  ご主人のモヒット・マナクタラさん、
  奥様のキララ・マナクタラさん、
  娘さんのテルミーナさん。
  きょうのツアー3名が、
  すでにロビーでお待ちでした。


モヒットさん : Excuse me. Are you Mr. Yamada ?
         あのう、山田はんでしょうか?


山田     : Yes. and you are ・・・
          はあ、そしたら・・


モヒットさん : I'm Mohit Manaktala.  
          モヒット マナクタラです。


キララさん  : Kilala. Nice to meet you.
         キララです。よろしく。


テルミーナ  : Termina. Nice to meet you.
さん       テルミーナです。よろしく。


山田     : Nice to meet you too.
         こちらこそ、よろしくお願いします。


  ここで、TICでもらった地図を広げる。
  本日のコースは、4時間ウォーキングツアー。

  二条城と金閣寺、それとせいぜいのところ、
  あとひとつ・・・龍安寺か。
 
  それを提案すると、


モヒット : How about Kiyomizu temple ?
さん     Very nice temple to see ?
       清水寺ってのは、どうなの? 
       いいお寺なんでしょ?


山田   : ( そら、ええけど、
        4時間コースでは、無理だぞ。) 

       Anyway, let's get started.
       If we have time left enough after
         visiting all the three,
         we may well be heading for
       the Kiyomizu temple.
       
         まあ、とにかく動きましょう。
       とりあえず、今の3カ所を行って、
       それから残りの時間を
       見ながら、清水寺のほうに行きましょう。



    【二条城へ】

  理屈からいえば、4時間コースだから、
  4カ所行ける。確かに。
  だが、移動時間が抜けている。
  全てをタクシー移動すれば、
  不可能ではないが・・・

  そんなことを思っていると、


モヒッ
トさん : Yamada san,
     let's make those four places
     into our today's itinerary.
     To make moving time short,
     how about using taxi all the way ?
       
     山田はん、さっきの4ヶ所、
     全部行きましょうよ。
     時間節約のため、タクシーを
     ずっと使って行けばいいでしょう?


 それは、OKである。山田、らくちん。
さっそく、河原町三条シズヤ前からタクシー
 に乗った。

 
 タクシーに乗ったら、ガイドは、地理説明の仕事。
 何を?まず、市庁舎のガイドだ。
 大正14年着工のモダンアートである。

(旧庁舎は、明治28年)



 その後、西庁舎、北庁舎の増築があり、現在に至る。

 と、いう話は、すべてタクシードライバーさんの話。

 山田、とりあえず通訳。
       
ヾ(@^▽^@)ノ
   

 御池通りを走ると、
 神泉苑の説明をするのが定番なのですが、
 きょうはパス。

 そこ、神泉苑は、
 もと平安京大内裏の南にあった禁苑。

 禁苑とは、皇居の庭園のこと。
 使用禁止とは、無関係である。念のため。



 その敷地は二条通りから
 三条通りまで、南北約500メートル、
 東西約240メートルに及び、
 池を中心とした大庭園であった。
 とか、そんな話。

 河原町三条からタクシーに乗ると、
 5,6分で、二条城に着いてしまいます。


   【二条城本丸庭園】


 本丸に行かずに、清流園に出て、
 戻ることが多いのですが、きょうは、お客様の
 足の向く方向に、お供しました。

 この本丸庭園を出たところに、
 白いハナミズキが咲いていました。


  「あ、こんなところにあったんだ。」

     
 白い大きな扇風機の羽根のような花びらです。

      
 山田 : When Japan gave
      the cherry trees to America,
      America, in return, gave these
      dogwood trees to Japan.
      
      日本が桜の木をアメリカにプレゼントして、
      そのお返しにアメリカからいただいた
      のが、このハナミズキなんです。



モヒッ
トさん : Oh, That cherry tree that
      a boy broke off the bough
      who turned to be an
      American president.


キララ
さん  : George Washington !


   ジョージワシントンが子供のころ、
   つまり1745年前後には
   アメリカ大陸には桜の木は
   なかったとされているのだとか。

   でも、これをいっちゃ、
   夢がこわれるから、知らんふりしましょう。

 

    【金閣寺へ】


    ヤサカタクシーに乗りました。

   円町から西大路に出ます。
   ここで、ドライバーさんが、


    「 どこの国の人?」


    「 インドです。」


    「 あのね。もう少し走ると、
     わら天神があるんだけど、
    そこの神社の説明
     してあげたら、いいと思うよ。」


そんなこと言われても、
しらないものの説明なんてできない。
聞いて見ると、


 「 妊婦さんが安産祈願に行くと、
   わらの入った封筒をもらうんだそうです。
  その中のわらに、
 節があれば、男の子が生まれ、
  節がなければ、
  女の子が生まれると言われています。」


  ドライバーさん、この説明をしたあと、
  ゴタに、英語に訳して、説明
  してさしあげろ、と言います。

  「 Women in pregnancy often
   pay visit this shrine.
   They receive an envelope in which
   there is a piece of straw.
   If the straw has a knot in it,
    a boy baby will be born,
   if the straw doesn't have
   a knot, a girl baby will be born, they say.」
     
   (えーい、めんどうな説明をさせやがって)・・・

    とも思ったが、感謝の気持ちもあった。
    ただ、
    このときは、「左大文字」

      の説明をする予定だったのだが。


  
    わら天神の説明が終わると、
    車はすぐに、金閣寺道。二条城から
    1440円で、到着。
  
    ここで、修学旅行の大群に、飲み込まれる。

   
    右も、左も、前も、うしろも、修学旅行の学生。

  

山田 : They are the same years old as you,
     Termina. They are aged 14.
     
     テルミーナさん、この人たち、みんな、
     あなたとおない年だよ。14歳ですし。


ヾ(@°▽°@)ノ

   テルミーナさん、 頬がほてった感じでしたが、
   断然、テルミーナさんの方が大人っぽい。

   日本の中学三年生は、まるっきり、子ども。
   まあ、修学旅行だから、
   はしゃぐのも、当然か。

   でもこちら、
   顔の彫りが深く、鼻すじが通っていて、
   大人に見える。

   入場券は、中学生で、買います。

    
   金閣寺では、必ず、
   入ってすぐのところにガードマンが立っていて、

      「左へ入れ。」

    と叫び続けています。

    左に入ったところで、写真撮影。これも定番。

    
    ガイドは、ここに来るまでに、あらまし、
    金閣寺の説明を終えていますので、
    ここでは、付け足す程度。


山田 : Look at the first floor.
     there are two images
       sitting side by side.
     The one clad in white is the founder of
     this villa, the 3rd shogun, Yoshimitsu.  
    
      The other on your right is Buddha.
     
     ほら、一階に人形が2つ座っているでしょう。
     白の着物を着ているのが、3代将軍義満で、
     右がお釈迦様。

   
モヒッ
トさん  : Can we go inside ?
      中に入れるの?


山田  : No, nobody can go inside.
     Even the monks of this
     temple cannot enter it,
     unless they get permission.
     There were very few of us got inside.
     One of them was an American president.
     
     いいえ、誰も入れません。
     僧侶ですら、許可なくして入れません。
     ほとんどの人が
    入れなかったのですが、
              アメリカの大統領は入りましたね。


キララ
さん   :  Who was it ?           
     それって、誰?


山田  : Clinton.
      クリントンさんでした。


キララ : Oh!
さん       

       
 
    【龍安寺

  タクシーの乗務員さんは、
  原谷の桜をおすすめでしたが、
  やはり、日本人観光客と、
  海外の方の関心は違うようです。

  ここは、オーソドックスに、


  「龍安寺

  へと向かいます。

  そう、彼らは、「日本」

  を見に来られたのであって、
  「桜」を見に来られたわけではない。

  日本はどこにあるか?日本は、
  石庭の素朴さの中にあるかも知れない。


山田 : Some guide books say the stone garden
     was built during Edo
     period (1603~1867),
     some say it's completed during
     the 16th century, others say
     it was designed in the
       same Muromachi peroid
                 or the 15th century.

    I 'm in favor of the opinion
    of the 15th century.
    Because stone arrangement
    so subtle so naive that
    no other people can be
    ascribed to the founder,
    Gensho Giten,(1393~1462).

    The most reliable theory date back
    to Momoyama period or the late 16th
    century though.

    ガイドブックには、この庭が
         江戸時代(1603年~1867年)
    に出来たとか、
    16世紀だっただろうとか、様々ですが、
    私は、15世紀説が好きです。

    こんな素晴らしく微妙な石の配置を、
    一体創設者の義天玄承(1393年~1462年)
    以外、誰が出来たといういのでしょう。
    最有力説は、桃山時代、16世紀ですが。     
    

ヾ(@°▽°@)ノ

    
  石庭の前で、しばし瞑想。
 禅寺にきたら、瞑想。

 瞑想により、身を雲外の巓に
 置く。

 白砂はたなびく雲の如し。
 神龍棲み老ゆ雲外の巓。
 
 とにかく、何かわけのわからんことを思うのに、
 ふさわしい庭である。
 まあ、これだけは言える。


  「 あなたも、ここ龍安寺
    来れば、仙人になれる。」 
    
     
 ヾ(@°▽°@)ノ

  
     【清水寺


  時計を見る。あと、1時間20分。
 
  

   「まあ、行けることは行けるが・・・」

 お客様の切なる希望。行かいでか~。
 とりあえず、龍安寺からタクシーに乗る。
     

   「清水寺まで、お願いします。」

 木辻馬代を下がり、嵐電に沿って今出川通りを東。
 ここで、ドライバーさんが


   「どの道を通りましょうか?」

    
 京都は碁盤の目。タテから行こうが、
 ヨコから行こうが、距離はたいして
 違わぬ。

 距離が同じなら、なるべく右左折はしないほうが、
 早くて安全である。
 よって、


 「 このまま、百万遍まで行って、
  東山通りを右折してください。」


   【教訓】 単純なものほど、尊い
        
 
 ヾ(@^(∞)^@)ノ

 
    【清水寺


 タクシー代は、2600円。五条坂
 七味屋からは歩きです。すぐ左手が三年坂。
 とりあえず、途中解散したときのために、
 帰りのコースをお客様にご説明。

 坂を登ります。よいしょこらしょと歩きます。
 ふー、と一息つくころに到着するのが
 この寺の絶妙な配置。

 石段下で、写真を撮ります。

 780年、
 延鎮が夢のお告げで、清水を探す旅に出て、
 ようやく見つけた清水。
 これが、この寺の始まり。

     カチンコ

    
 最初の帰依者は、坂の上の田村麻呂。
 奥方の懐妊に際し、鹿の血が必要として
 狩りにきたところを、
 延鎮に説諭され、仏法に帰依。

 奥方は安産のお計らいを受け、
 この縁あってか、
 子安の塔を擁する大寺院となった。

 音羽の滝は、長い行列。
 4時間コースはまもなく終了。

山田  :  Let's drink the water
       at the vending machine.
       水は自動販売機のを飲みましょう。


みなさん : わはははは(インド語で笑ったのだった。)


     【三年坂】


   あと、10分少々、
   時間がありましたので、一緒に歩きました。
   妊婦さんが歩くと体にいいと言われている坂道。

   ただし、転ぶと縁起が悪いと言われてる坂。
   ただし転んだ人は、
   ヒョウタンを買えば
   救われると言われている坂。

   かなりええかげんな言い伝えだとは思うが、
   たしかに、ヒョウタンが売られていました。

   途中、右手に石段があります。
   それが二年坂。これを降ります。
   左手には、竹久夢二がしばらく(1ヶ月ほど)
   下宿していたという旧家(今は売店)。

   二年坂の終点で、何とピッタリ4時間。

   お客様はこれからタクシーで、
   ホテルに戻るといいます。

   山田、ここで考える。
   京阪五条から帰るのがいいか。
   お付き合いして、三条京阪から帰るか。

   哲学者山田、結論:三条から特急に乗るで~。

   哲学者は
   お客様と一緒にタクシーに乗り込んだとさ。


   おしまい

   山田 錦